(8)管路の圧力検査

 検査は目視により行う。配管を被覆したり、隠ぺいしたり、埋設したりする前に、圧力試験により、架橋ポリエチレン管路の性能を確認する。
 その方法は以下の通りである。

1 水圧試験

 一般に可撓性のある弾性率の低い合成樹脂管は、水圧試験を実施すると初期設定負荷圧力より低下する場合がある。架橋ポリエチレン管も同様で、圧力降下を漏水と間違えることがあるため注意が必要である。

 架橋ポリエチレン管の特性上、圧力降下については次のことが言える。
初期設定負荷圧力の保持時間を長くすることで、著しい圧力降下を防ぐことが可能である。
圧力降下は、配管の長さと配管のサイズにはあまり影響を受けない。
配管中に空気が混在していると、満水時よりも圧力降下率が小さくなることがある。
漏水時に発見されにくくなるため、十分に空気抜きを行う必要がある。

当工業会では、以下の水圧試験方法を推奨する。
@ 試験は、まず配管の末端をプラグやその他の方法でふさぐ。次に給水弁を開き満水にするが、このときは配管中の空気をプラグで緩めたり、弁を開いたりして排除する。
A 配管にポンプで圧力を加える。このとき、初期設定負荷圧力に達してから5分間保持する。
初期設定圧力:0.75MPaもしくは1.75MPa
B 保持後、圧力降下を1時間観察する。
初期設定負荷圧力が0.75MPaの場合、1時間後の圧力が0.5MPa以上であること。
初期設定負荷圧力が1.75MPaの場合、1時間後の圧力が1.2MPa以上であること。
<注意>
 1時間後の圧力が0.5MPa未満もしくは1.2MPa未満となった場合は、漏水の可能性が特にあります。
C 合否の判定
各部材、各接続部を目視及び触感で確認し漏水、破損などがないこと。

当工業会で行った試験データを参考までに、図5.9(0.75MPa)、図5.10(1.75MPa)に示す。
先述の方法で試験水圧を5分間保持した場合と保持を行わなかった場合の経時変化である。

試験条件 架橋ポリエチレン管 呼び径: 13(外径17.0mm、厚さ2.1mm)
配管長: 30m
試験圧力に昇圧するまでの時間: 約10秒

  試験No. 線種 試験温度 加圧方法
図5.9 試験No.@ 5℃ 初期設定負荷圧力
0.75MPa
保持5分間
試験No.A 20℃
試験No.B 35℃
試験No.C 5℃ 初期設定負荷圧力
0.75MPa
保持なし
試験No.D 20℃
試験No.E 35℃
図5.10 試験No.@ 5℃ 初期設定負荷圧力
1.75MPa
保持5分間
試験No.A 20℃
試験No.B 35℃
試験No.C 5℃ 初期設定負荷圧力
1.75MPa
保持なし
試験No.D 20℃
試験No.E 35℃

図5.9 架橋ポリエチレン管の初期水圧経時変化(試験圧力0.75MPa)
 
図5.10 架橋ポリエチレン管の初期水圧経時変化(試験圧力1.75MPa)

参考までに先述の水圧試験方法で初期設定負荷圧力が1.0MPaの場合の試験結果を図5.11に示す。
目安として1時間後の圧力が0.7MPa未満となった場合は漏水の可能性が特にある。
その場合、各部材、各接続部に漏水、破損などがないか目視及び触感で確認すること。

試験条件 架橋ポリエチレン管 呼び径: 13(外径17.0mm、厚さ2.1mm)
配管長: 30m
試験圧力に昇圧するまでの時間: 約10秒

  試験No. 線種 試験温度 加圧方法
図5.11 試験No.@ 5℃ 初期設定負荷圧力
1.0MPa
保持5分間
試験No.A 20℃
試験No.B 35℃

図5.11 架橋ポリエチレン管の初期水圧経時変化(試験圧力1.0MPa)


2 空気圧試験

 水圧試験を推奨するが、寒冷地で水が使用できない場合は、次の空気圧実験を実施し、接合部の漏洩をチェックする。

@ 試験は0.1〜0.3MPaの低圧で実施し、漏洩点検は、希釈石鹸水を筆など適宜の方法で接合部に塗布し、気泡の発生の有無により確認する。
A 合否の判定
気泡の発生のないこと

(9)配管上のその他の注意事項

@ 金属継手、弁、機器類と接合する場合は、それらの重量が架橋ポリエチレン管に悪影響を与えないように配慮しなければならない。
A 大量に灯油、ガソリンなどを扱うスタンド、車両工場、化学工場などで、高濃度汚染がある場所または予想される場所での敷設は、非汚染土による埋め戻しや影響を受けにくい経路(さや管工法)の検討が必要となる。


(10)防火区画貫通の施工法

 防火区画貫通の施工を行う際には建築基準法及び消防法に則って施工する必要がある。
 建築基準法では、建築物の設置環境と構造自体に焦点をあて、火災に強い建築物の建設と、延焼拡大を
防止するための規制をしている。消防法では建築物で発生した火災の早期発見・消火と避難の方法に関する
施設の設置とその運用についての規制を目的とし、両法規が車の両輪として機能することにより、火災の防止
と被害の縮小を図っている。
 消防法で規定する区画には「令8区画」と「共住区画」の2つがある。
名称 構造等
令8区画
(図の太線部分)
消防法施行令第8条に規定する「開口部の無い耐火構造の床又は壁の区画」であり、
1つの建築物をこの区画で区分することによって別個の防火対象物とすることができる。
用途の異なる複数の部分(図内ではマンションと店舗)が1つの建築物にある場合や、
複雑な構造を持つ建築物を防火管理し易い部分に区切る場合などに規定される。
共住区画
(図の破線部分)
共同住宅等の住戸等間の「開口部の無い耐火構造の床又は壁の区画」であり、個々の
住戸等を1つの建築物とみなして、それらが集まって構成される共同住宅に適した消防
用設備等の設置と維持管理を図るために規定される。別に規定する基準を満足すること
により、消防用設備等の設置を変更緩和できる。

 また、消防法の共住区画については、消防予第53号通知「令8区画及び共住区画の構造並びに当該区画を
貫通する配管等の取り扱いについて」と消防予66号通知「特定共同住宅等における必要とされる防火安全性
能を有する消防の用に供する設備等に関する省令等の公布について」で規定されており、消防予第66号通知
では「特定共同住宅」という考え方が導入され、特定共同住宅に関する規定がなされている。

 架橋ポリエチレン管で防火区画貫通をする場合の建築基準法および消防法で定められている防火区画貫通
部における処置方法を以下に記す。

建築基準法
1) 防火区画を貫通する部分が無い場合
 特に規制は無い
2) 防火区画貫通部がある場合
 建築基準法施工令129条2の5第1項第七号に従わなければならない。
 主な内容は下記の通り。
   ・防火区画を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、防火区画などの
    加熱側の反対側に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものとして、国土
    交通大臣の認定を受けたものであること。

消防法
1) 防火区画を貫通する部分が無い場合
 特に規制は無い
2) 防火区画貫通部がある場合
 消防予第53号通知と消防予第66号通知に従わなければならない。
 主な内容は下記の通り。
   ・「消防防災用設備等の性能評定について」に基づき評定を受けた製品、工法であること。
   ・「特定共同住宅等の住戸等の床又は壁並びに当該床又は壁を貫通する配管等及びそれ
    らの貫通部が一体として有すべき耐火性能を定める件」(告示第4号)の性能に適合する
    こと。(特定共同住宅の場合に限る)

 以上のとおり、それぞれの法に則り認められた認定工法および評定工法について内容をよく理解し、正しく
設計・施工する必要がある。