(7)摩擦損失水頭

 架橋ポリエチレン管の20℃及び80℃における流量線図を図3.8、図3.9に示す。
 わが国の水道界では、流量から摩擦損失を求める計算式としてHazen&Williamsの式とWestonの式がよく知られ、主として前者は配水管に、後者は比較的小径の給水管に使用されている。両式とも温度に係わる係数は含まれておらず、これを用いて作成された流量線図は常温の水に適用されるものである。
 架橋ポリエチレン管の配管では、小口径のものが長尺のまま、かなり大きな流速で使用される等摩擦損失水頭が比較的大きくなるような厳しい条件で使用されるケースが多いと予想される。
 一方、給湯等高温で使用する場合は水の粘性が低下するため、摩擦損失水頭は低くなるはずである。このような様々な使用条件に適確に対応し、実際に則した摩擦損失水頭を求めることができるよう、ここでは温度が関係する係数を含むBlasiusの式(1)を使用することにした。
 摩擦損失の計算要素のひとつである管摩擦係数を温度依存係数である動粘性係数を用いて算出する式として、Blasius、Nikuradse、Herman、Plandtl-Karman、Mises等の式が知られている。この中から、水道の実用流量とそのレイノルズ数、管内壁の粗度、種々の配管分野における使用状況等を勘案して、Blasiusの式を採用した。図中の摩擦損失(動水勾配)は、この式より算出した管摩擦係数の値を摩擦損失水頭の計算式であるDarcy-Weisbachの式(2)に用いて計算したものである。
 なお、低流量域でBlasiusの式の適用範囲外については、実用上損失水頭が問題とされることはないと考え、省略した。また、高流量域の一部には本来は、Nikuradseの式を適用すべき領域があるが、本図中の範囲では両式の計算式が近似していることを確認した上で前述の式をそのまま統一して使用している。

参考@ Blasiusの式
管摩擦係数 λ=0.3164・Re-1/4
適用範囲 2000<Re<105 (日本機械学会「管路・ダクトの流体抵抗」)
■■■■ ただし、Re:レイノルズ数
■■■■ v: 管内の流速 (m/s)
d: 管の内径 (m)
ν: 流体の動粘性係数 (m2/s)

参考A Darcy-Weisbachの式
摩擦損失水頭 (mAq)
■■■ ただし、 λ: 管摩擦係数
L: 管路の長さ (m)
g: 重力の加速度 (m/s2

       注:呼び径16は、JIS K6769架橋ポリエチレン管(PN15)
 
図3.8 水道用架橋ポリエチレン管流量線図(水温20℃)

       注:呼び径16は、JIS K6769架橋ポリエチレン管(PN15)
 
図3.9 水道用架橋ポリエチレン管流量線図(水温80℃)

(8)水撃圧

 表3.6は、配管途中に配置した弁、水栓等を急閉鎖することにより、秒速1mの管内の流れを瞬間的に停止させたときに発生する水撃圧の最大値に関し、架橋ポリエチレン管と代表的な他の配管材を比較したものでる。
 本表に見られるように、架橋ポリエチレン管は他の配管材に比べ、同じ条件で発生する水撃圧が際立って低い。従ってこれから生じる衝撃音も十分小さいことが期待できる。

 なお、本表の最大水撃圧(水頭)は、下記の式によって計算した。
最大水撃水頭 (mAq)…………Joukowskyの式

ただし、 a: 弁等の急閉鎖によって発生する圧力波の伝播速度(m/s)
■■■ K: 流体の体積弾性膨張係数 N/m2 {kgf/m2}
g: 重力の加速度 m/s2 {m/s2}
γ: 流体の比重量 N/m3 {kg/m3}
D: 管の内径 m {m}
t: 管の肉厚 m {m}
E: 管材の縦弾性係数 N/m2 {kgf/m2}
v: 弁閉鎖直前の流速 m/s {m/s}

表3.6 弁等の急閉鎖によって発生する最大水撃圧       (流速1m/s当たり)
  架橋ポリエチレン管
(PN15)
水道用ポリエチレン管
(2種)
銅  管
(Mタイプ)
水道用亜鉛メッキ
鋼  管
温  度 20℃ 50℃ 20℃ 50℃ 20℃ 50℃ 20℃ 50℃
縦弾性係数
N/mm2
{kgf/cm2}
588
{60}
294
{30}
784
{80}
392
{40}
117,680
{12,000}
196,133
{20,000}
呼び径 水撃圧
MPa
{kgf/cm2}
水撃圧
MPa
{kgf/cm2}
水撃圧
MPa
{kgf/cm2}
水撃圧
MPa
{kgf/cm2}
5 0.42
{4.3}
0.30
{3.1}
7 0.36
{3.7}
0.25
{2.6}
1.28
{13.1}
1.38
{14.1}
8 0.33
{3.4}
0.24
{2.5}
10 0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
1.26
{12.8}
1.34
{13.7}
1.40
{14.3}
1.52
{15.5}
13 0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
15 0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
1.24
{12.6}
1.31
{13.4}
1.39
{14.2}
1.52
{15.5}
16 0.30
{3.1}
0.22
{2.2}
20 0.29
{3.0}
0.22
{2.2}
0.27
{2.8}
0.20
{2.0}
1.20
{12.2}
1.27
{13.0}
1.38
{14.1}
1.50
{15.3}
25 0.29
{3.0}
0.21
{2.1}
0.28
{2.9}
0.20
{2.0}
1.17
{11.9}
1.24
{12.6}
1.37
{14.0}
1.49
{15.2}
30 0.29
{3.0}
0.21
{2.1}
0.28
{2.9}
0.20
{2.0}
32 1.16
{11.8}
1.23
{12.5}
1.36
{13.9}
1.48
{15.1}
40 0.29
{3.0}
0.21
{2.1}
0.28
{2.9}
0.20
{2.0}
1.16
{11.8}
1.23
{12.5}
1.35
{13.8}
1.46
{14.9}
50 0.29
{3.0}
0.21
{2.1}
0.28
{2.9}
0.20
{2.0}
1.14
{11.6}
1.20
{12.2}
1.34
{13.7}
1.45
{14.8}

水の特性値
温度(℃) 比重量 N/m3 {kgf/m3} 体積弾性率 N/m2 {kgf/m2}
20
50
9789.0 {998.2}
9690.0 {998.1}
2.06×109 {2.10×108}
2.43×109 {2.48×108}