(3)最高使用圧力

 JIS K6769規格架橋ポリエチレン管の温度別最高使用圧力を表3.2に示す。
 この最高使用圧力を設定するのに必要な許容応力は、ISOやDIN、ASTM等各国の規格を調査し、また、内外で公表されている給水・給湯用架橋ポリエチレン管のクリープ線図を確認した上で、ISO 10146・2の規定値と同値とした。安全率は1.5である。

表3.2 管の使用温度及び最高使用圧力による分類
種類(1) 使用温度 ℃ 0〜20 21〜40 41〜60 61〜70 71〜80 81〜90 91〜95
PN10 最高使用圧力 MPa
{kgf/cm2}
1.00
{10.2}
0.80
{8.2}
0.65
{6.6}
0.55
{5.6}
0.50
{5.1}
0.45
{4.6}
0.40
{4.1}
PN15 最高使用圧力 MPa
{kgf/cm2}
1.50
{15.3}
1.25
{12.7}
0.95
{9.7}
0.85
{8.7}
0.75
{7.7}
0.70
{7.2}
0.65
{6.6}
注(1): 種類は、水温20℃における管の最高使用圧力のグレードをあらわす。
また、PNに続く数字は耐圧力を示し、PN10は水温20℃における管の
最高使用圧力が1.00MPaを、PN15は1.50MPaを意味する。

 ISOでは、10℃から70℃までそれぞれ使用期間1、5、10、25、50年ごとに、また80℃では25年まで、90℃、95℃は10年まで個々に許容応力を定め、DINではその温度と年数に対応させて許容使用圧力を設定している。しかしこの形式ですべてを取り込むとあまりにも煩雑になると考え、わが国の実情より必要と思われる範囲に絞って表3.2を作製した。
 前節でも述べたように、樹脂管の使用限界はその使用温度のクリープ線図が下向きの屈曲を示す時間であり、この期間内に限り許容応力(あるいは設計応力)を定め、安全に使用することができる。この点に関しては特にASTM(1)(2)に明確に示されている。架橋ポリエチレン管の場合、90℃でも数十年にわたり、クリープ線図の直線性が確認されており、応力上の余裕さえあれば劣化の危惧なく使用は可能である。
 なお、このクリープ線図について補足すると、実際に行なわれている試験時間は最大で10余年であるためそれ以降は無論外挿値である。しかし、一般にポリオレフィン系プラスチックでは、温度が15℃下がるごとにクリープ線図の屈曲点が出現する時間が概略10倍となることが文献等にてよく知られている。従って、10年の試験が実際に行なわれ、所用の温度より15℃高い温度のクリープ線図が直線性を保持している場合はその10倍、少なくとも50〜60年程度は直線的な外挿を行なってもその値の信頼性がきわめて高いことが広く認められている。
 樹脂管の場合、内圧と円周応力の関係は下記の式で示され、ISO 161でもこの式が指定されている。
 最高使用圧力を算出する場合は、円周応力に前出の許容応力、管寸法には規格の外径平均値と肉厚最小値を用いると内圧Pが最高使用圧力となる。

■■■ ……(式1)
ただし、 σ: 円周応力 MPa {kgf/cm2}
  P: 内圧 MPa {kgf/cm2}
  D: 平均管外径 mm {cm}
  t: 管最小肉厚 mm {cm}

注(1) ASTM F 877 CROSSLINKED POLYETHYLEN (PEX) PLASTIC HOT-AND
COLD-WATER DISTRIBUTION SYSTEM (APPENDIXES X1.3)
(2) ATSM D 3309 POLYBUTYLENE (PB) PLASTIC HOT-AND COLD-WATER
DISTRIBUTION SYSTEM (APPENDIXES X1.4)

(4)水圧強度

 架橋ポリエチレン管を含め、プラスチックの破壊は通常、時間依存性を持っている。時間内圧クリープ試験で代表される比較的長時間にわたる負荷応力で破壊現象を見るときは、機械的要因に加えて、酸化などの化学的要因も関係する。一方、短時間の破壊に対しては、温度を一定に保持することにより、製品固有の破壊値が得られる。従って、管の品質管理や購入仕様に有用である。特異な分子運動の見られない温度域や相変化のない温度領域では、外挿法により種々の温度における管の破壊水圧を推定することもできる。
 測定手法の概要は、ASTM D 1599(プラスチックパイプ、チューブ、継手に関する短時間破壊強度の標準試験法)に準拠した。試料及び測定手順は次のとおり(図3.3参照)。

1.供試管

@ 寸  法: 外径21.5mm、内径17.5mm、肉厚2.0mm、長さ400mm
A 密  度: 0.95g/cm3
B ゲル分率: 66%

2.測定手順

@  一水準の測定温度に対して、サンプル数を3とした。測定に先立ち、管の外観検査をした。
A  管両端の開口部に継手を取り付けた後、供試管に注水し、継手部の圧力注入口と手動水
圧ポンプの出力口とをパイプラインにより接続した。
B  破壊は、水槽中で行なう。供試管が完全に浸潰されるような配置とし、測定温度雰囲気で
加圧前に約1時間の保持時間を設けた。
C  水圧強度測定の温度は三水準とし、各25、40、75℃(温度精度±2℃)である。
D  手動ポンプにより、供試管に水または湯を注入した。
内圧1.47MPa {15kgf/cm2}までは、無段階に昇圧し、以後は0.49MPa {5kgf/cm2}昇圧させる
ごとに1分間の保持時間を設けながら順次昇圧した。

 以上から得られた破壊水圧値から、(式2)を用いて破壊時の管の円周応力を求めた。
 表3.3は、式2から得られた結果を示す。

■■■ ……(式2)
ただし、 σ: 破壊時の円周応力 MPa {kgf/cm2}
  P: 破壊水圧 MPa {kgf/cm2}
  D: 管外径 mm {cm}
  t: 管最小肉厚 mm {cm}

図3.3 試験装置

表3.3 破壊水圧実験値
温度
試料
番号
破壊水圧 MPa {kgf/cm2} 破壊時の円周応力
MPa {kgf/cm2}
測定値 平均値
25 1
2
3
3.92 {40}
4.51 {46}
4.31 {44}
4.25 {43.3} 20.68 {211.0}
40 4
5
6
3.53 {36}
3.53 {36}
3.53 {36}
3.53 {36.0} 17.20 {175.5}
70 7
8
9
2.16 {22}
2.35 {24}
2.45 {25}
2.32 {23.6} 11.28 {115.1}

 管の破壊水圧(破壊時の円周応力)は、明らかに温度依存性を持つことがわかる。
 ここで測定した三水準の円周応力を温度に対してプロットし(図3.4)、その前後の温度域まで直線で外挿した。-10〜80℃域の種々の温度における円周応力から、式2を用いて呼び径別破壊水圧値を計算すると、表3.4のような結果が得られた。

図3.4 破壊円周応力の温度依存性

表3.4 呼び径別破壊水圧値(計算値)

PN10の場合   単位:MPa {kgf/cm2}
呼び径 温  度   ℃
-10 0 20 40 60 80
16 6.28
{64}
5.39
{55}
3.73
{38}
3.24
{33}
2.55
{26}
1.86
{19}
20 6.06
{62}
5.20
{53}
3.63
{37}
3.24
{32}
2.45
{25}
1.77
{18}
25 5.88
{60}
5.00
{51}
3.43
{35}
3.04
{31}
2.35
{24}
1.77
{18}
30 5.39
{55}
4.61
{47}
3.14
{32}
2.75
{28}
2.16
{22}
1.57
{16}
40 5.39
{55}
4.61
{47}
3.24
{33}
2.84
{29}
2.16
{22}
1.57
{16}
50 5.30
{54}
4.51
{46}
3.14
{32}
2.75
{28}
2.16
{22}
1.57
{16}

PN15の場合   単位:MPa {kgf/cm2}
呼び径 温  度   ℃
-10 0 20 40 60 80
5 13.08
{141}
11.87
{121}
8.24
{84}
7.16
{73}
5.49
{56}
4.12
{42}
7 10.59
{108}
9.02
{92}
6.28
{64}
5.49
{56}
4.22
{43}
3.14
{32}
8 9.51
{97}
8.14
{83}
5.59
{57}
4.90
{50}
3.82
{39}
2.84
{29}
10 7.85
{80}
6.77
{69}
4.71
{48}
4.12
{42}
3.14
{32}
2.35
{24}
13 8.24
{84}
6.96
{71}
4.90
{50}
4.22
{43}
3.24
{33}
2.45
{25}
15 8.04
{82}
6.86
{70}
4.81
{49}
4.12
{42}
3.24
{33}
2.35
{24}
16 8.14
{83}
6.96
{71}
4.81
{49}
4.22
{43}
3.24
{33}
2.45
{25}
20 8.14
{83}
6.96
{71}
4.81
{49}
4.22
{43}
3.24
{33}
2.45
{25}
25 7.94
{81}
6.77
{69}
4.71
{48}
4.12
{42}
3.14
{32}
2.35
{24}
30 8.04
{82}
6.86
{70}
4.71
{48}
4.12
{42}
3.24
{33}
2.35
{24}
40 7.94
{81}
6.77
{69}
4.71
{48}
4.12
{42}
3.14
{32}
2.35
{24}
50 7.94
{81}
6.77
{69}
4.71
{48}
4.12
{42}
3.14
{32}
2.35
{24}